帯が上がるという事

12月の審査で帯に色がついたり、色が変わったり、金線が増えたりと昇級・昇段された方々が多くいらっしゃいます。
この段位制度は明治時代に嘉納治五郎先生が作り、さらに大山道場の中村茂先生が白と茶と黒だと白→茶が大変過ぎるから・・・と間に緑帯を作られ、そこからさらに増えて現在の形になったそうです。
空道では一般部は白→青→黄→緑→茶→黒と言う段階で上がっていきます。
大会と違って、昇級・昇段は他人との競い合いではなく、自身との戦いですので、一歩一歩成長していけばいつかは必ず黒帯にたどり着けます。
格闘空手~空道黎明期は緑帯に昇級するまで顔面殴打禁止の所謂「極真ルール」、緑帯の間は寝技を禁止した「格闘ルール」そして茶帯から初めて「空道ルール」の稽古を許されました。
黄帯とかでパンチングミットを打っているだけで「お前にはまだ早い!」とビッグミットに切り替えさせられて胸を打つ稽古をさせられたりしてました。

現在では基本的にどの帯でも同じルールで稽古をします。

審査では投げは緑帯以上、寝技は茶帯以上しか見られないのは、あくまで打撃が主、組技は従であるという打撃系総合武道である空道の理念を体現していることと、かつての名残ではないでしょうか。

さて、昔は強かったら帯が上がるやろ、と思っていましたが、最近はそうでもないのかなと思っています。
空道で帯が上がる為に、強い事は必要条件ですが、十分条件ではありません。
例えば、キックボクシングと柔道をみっちり経験して空道の道場に入門したとします。
とりあえず打撃も投げも寝技も十分にできるとします。
それじゃ彼は即黒帯になれるのか?というと、なれません。
だって、空道ができず、伝える事もできないからです。
「俺は強いんで黒帯(茶帯・緑帯…色帯でも可)をください」
なんて人がいたとしても、私はダメだと言います。
だってあなた、空道知らないでしょう、次の世代に空道を伝えられないでしょう。
武道には格闘技としての側面と、文化、教育としての側面があります。
帯が上がると同時に空道の基本、移動、投げ、寝技のカリキュラムと理念を理解した上でさらに強くて初めて空道の帯がもらえます。

昇級される方は自身の帯が上がると同時に、帯下に教えられるか?というところも考えてみると良いでしょう。