守・破・離(離れるとは言っていない)

武道の修行の段階を語る言葉で「守・破・離」というものがあります。
師の教えを「守」る時期があり、それを「破」る(異を唱える)時期があり、最終的に師を「離」れて自分のやり方を立ち上げる、という流れだそうです。
師匠と弟子では体格もセンスも考え方も世代も違う為、形に変化が起こるのは当然のことでしょう。
で、普通は師匠と理念がずれていくと独立していきます。
空道だってが東塾長が顔面打撃、投げ技を包括した「総合武道」を実践する為に、極真会館から独立されたのが契機です。
しかし空道においては、結構理念がずれても、基本さえ押さえていればOKなところがあります。
ルールが自由なのもあり、打撃系総合武道を謳いながらも各選手が投げや寝技を主とした戦い方をする事も許されれば、空道の道場に所属しながらキックや総合、空手の試合に出場する事も(反社会勢力が絡んでいなければ)許可されます。

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(8年前、誠空会空手全日本選手権大会を制した羽島選手)


(7年前、腕試しにやはり空手の大会に出場した樋口選手)


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(昨年ブラジリアン柔術の大会で優勝したチーム空道こと辻村師範代、山田指導員、渡部選手)

普通の団体なら、全くルールが違う団体に出場するのは難色示しますし(負けちゃうかもしれないですしね)、ましてや別団体の試合ばかり出てたりしたら破門されることだってあり得るでしょう。
MMAや総合の世界では当たり前に出稽古が行われる様になった昨今ですが、1980年代の大道塾はその走りでした。
大学生だった道場生は柔道部やボクシング部に出稽古に行き技術を吸収し、また、他団体からの出場も積極的に受け入れていました。
ピーク時は北斗旗出場の半分近くが他団体なんて頃もありました。

そういう意味では空道はまさしく「大道無門」です。
辻村師範代は常々、「やりたいことがあるから他団体に行っても良いし、(武道・格闘技以外の)別のことを頑張るのも良い。そしてまた空道やりたくなったら戻ってきたらそれで良いじゃ無いか」と言われています。

実際、関西本部時代稽古をしていた方で、今はまったく別の道で活躍されている方もいます。


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(日高中津高校で寮生活をしつつ野球に専念する森選手(一番右、幼稚園~中1まで関西本部))

技術や理念と師弟関係、人間関係は(混同しがちですが)分けて考えたいですね。
ですからもし別の事がやりたい!という場合は、素直に打ち明けて、胸を張って道場を去り、またやりたいなと思ったらまた帰ってきたらそれで良いんじゃないでしょうか。

空道は大道無門ですから、敷居がありません。

けれど、自分で勝手に敷居を作って、それをまたげなくなっている人をよく見ます。

「忙しいから一旦退会(休会)します」「やりたい事ができたので退会(休会)します」

で、またやりたくなったら「再開します!」で良いんじゃ無いかな・・・と思います。

これまでに不義理をしちゃった人も「その節はすいませんでした」の一言で、皆快く受け入れてくれる事でしょう。

武道は生涯修行を続けるものですが、それ故に一時期離れる事も、また戻ってくる事もある・・・そう思います。